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横山秀夫「出口のない海」

出口のない海出口のない海
横山 秀夫

講談社 2006-07-12
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最近映画も公開になったようだけれど、私はとりあえず本で。
映画もちょっと気になるのだけれど、市川海老蔵はなんとなく見たくないのよねぇ……ってことで。

最近、戦争の話、特にこういう特攻系のものが増えている気がするのは気のせいだろうか。私は観なかったけれど、このあいだ、「僕たちの戦争」もドラマになっていたようし(現代のフリーターが突然戦時中の特攻隊と入れ替わってしまうみたいな話だと思う)、今月で終わるNHKの朝のドラマ「きらり」も戦時中の話だった。
きっと、「不況だ、高齢化だ、大変だ!とか言っているけれど、戦争中に比べたら、ずっと恵まれているんだから、感謝して生きなさい」というようなメッセージなのだろう(笑)

この本は、やはり時代背景が違うのもあり、今までの横山作品とは違ったものの印象を受けた。ただ、途中、先が気になって結構な勢いで読めたし、そういうエンターテイメント的な書き方は横山さんの力だなぁという気がする。
でも、そういうタッチで、この題材を書くのが良いのか悪いのかは、個人個人の受け止め方かもしれない。「戦争の重い話なのに、そこまで深刻になりすぎず、今の感覚を大切にして書かれていて、楽しんで読むことができた」と言うこともできるし、「せっかくこれだけの重い題材と向き合うことを選んだのだから、中途半端な向き合い方にはせずに、もっとテーマを掘り下げて欲しかった」とも言える。どちらも正直な感想。

私が残念だと思ったのは(他の人はそう感じないかもしれないけれど)、大事な場面で視点が他の人物に移り、上手く感情移入できなかったこと。たしかに最後に死ぬ人の一人称で小説を進めるのは難しいとは思うのだけれど、一つの場面で視点が他の人に移ると、読んでいて混乱するし、混乱すると気持ちが冷めてしまう気がする。もっと主人公の「並木」の目と心に集中させて欲しかったな、という気がする。
あと、脇に何人も魅力的な人物が登場するのだけれど、それが「何人も」であるために、焦点がぶれてしまった気もする。個人的な好みとしては、もう少し主要人物を絞って、主人公との対比などを出した方がおもしろかったかな、という気がした。

でも、最後のあたりで並木がなぜ回天に乗って死のうと思っているのかを語るその言葉と、ラストは、軽く読者の読みを裏切ってくれて良かったと思う。

戦時中でもみんながみんな「お国のために死ぬのは怖くない」などと思っていたわけではない、ということが、最近の戦争物にはよく書かれるようになってきたように思う。
でも、こういう時代、「国のために死のう」と思えた人間の方が楽に生きられただろうな、という気はする。そして、そういう思想は恐ろしいとは分かっていても、一つの絶対的な価値観がある世の中というのは、ある意味で生きやすくて羨ましいなどと不謹慎なことも思ってしまったりする。
それってただ私が「自由」をもてあまし気味だと言うことで、ものすごく贅沢な意見なのだけれどね。

ま、そんなことを色々考えられたと言うことは、良い作品だったということなのかもしれない。

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2006/09/22(金) | 本の感想 | トラックバック(0) | コメント(6)

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あとむ

『』

言われて見ると、戦争モノ多いですね。
終戦記念日間じかに多いのはうなずけますが・・・。
私は年末に「男たちの大和」を見てきました。
三十路記念(笑)に広島に一人旅を計画した時期に撮影現場が見れるということだったので・・・。結局は休みが取れずにいけませんでした。残念。
私は元々この類のものは得意じゃないのですが、でも、そういうことじゃなくて見るべき物だともいました。勿論色々脚色されていますが、事実としてこういう時代もあったんだって言う事で。

出口の無い海も見てみれば?といわれましたが、大和より重そうなので迷い中です^^;

2006/09/22(金) 11:55:20 | URL | [ 編集]

かおり

『』

あとむさん。
コメントありがとう。
細かいところ、つっこんでもいい?
あとむさんって三十路なの???
自分よりずっと若いように思っていたのだけれど(やっぱ若くて可愛い子っていいな~みたいなおじさん的な気持ちで観ていました(笑))
もしそうなら羨ましい。私は25,6歳の頃から、30代に見られていたから(>_<)

「男たちの大和」は見ていないですが、「出口のない海」は戦争物でもありながら、青春ものでもあるし、意外と重さの中に爽やかさはあるかもしれないです。
私もちょっと映画、気になっています。
もし観て良かったら教えてね。

私は今年、初めて「ひめゆりの塔」には行きました。博物館を観て、すっごく重かったけれど、知るべきことの一つとしっかり向き合ったなという気はしました。
時々はそういうものと向き合うことも大事だなと思います。

2006/09/22(金) 21:20:46 | URL | [ 編集]

あとむ

『』

>あとむさんって三十路なの???
し、しまった。黙って居ればよかった。なんて(笑
早生まれなので今年の誕生日で三十路になりました。
若く見えるのは家系と私の落ち着きのなさだと思います^^;。


「ひめゆりの塔」に行って、体験者から話を聞いた人から
ちょこっとだけ話を聞きました。
少しだけですが余にも壮絶で、私は実際に行ってちゃんと話を聞けるか不安になりました。でも一度は行きたいな・・・と思っています。

2006/09/23(土) 09:28:26 | URL | [ 編集]

かおり

『』

あとむさん。
お返事ありがとう。
早生まれで三十路ってことは、同じ学年???
私は1975年4月生まれです。
うむ……絶対、5歳くらい若いと思っていた。
私も、もっと若く見えるよう、頑張らなきゃなぁ(笑)

ひめゆりの塔は、時間がなくて、ざっとの見学でした。
だから、体験者の話などは聞けなかったです。
でも、体験者の書いた文章がたくさん残っていたり、戦争の「現実」は重く感じました。

2006/09/23(土) 21:29:57 | URL | [ 編集]

あとむ

『』

>早生まれで三十路ってことは、同じ学年???
間違いないですね(笑
私は1976年1月ですから。
落ち着きなくせば若く見えるかも(笑

私はかおりさんみたいに素敵な文章も書けなくて、
高校の国語の先生に「小学生並み」と言われた位ですから(恥

2006/09/25(月) 17:25:50 | URL | [ 編集]

かおり

『』

あとむさん。
コメントありがとう。

わざと落ち着きをなくすというのも難しいね(笑)
もうちょっとテンションを上げるとか、そういうのがいいかなぁ。
30過ぎてから、「もう歳だからなぁ」って自分で認めちゃった部分もあるから、それはいけないね。
反省(笑)

あと、本当、あとむさんへのコメントとかメッセージ、「年下をかわいがるモード」で書いていたよ。ごめんね(笑)
でも、あとむさんみたいな方が、色々な人に可愛がってもらったり、色々教えてもらえていいよ、きっと!
私ももうちょっと「かわいげ」を勉強します(笑)

2006/09/25(月) 21:46:54 | URL | [ 編集]

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